夕方5時半をめやすに、「子供歌舞伎」の稽古は終了し、各家庭のお迎えがあります。稽古着をたたみ終えた子どもたちは、それぞれに、せりふの言い回しを「自主練」しながらお迎えを待っています。
その時間帯は、お師匠さん方にとっては夕食前のひとときであり、子どもたちの熱心な様子に、目を細めておられます。
「そこっ、もっとはっきりと! 力を込めて!!」
頑張る子どもたちには、熱い個別指導をいただけるようです。お師匠さんの示範される言い回しに、子どもたちは聞き入り、メモを取り、自分を高めていこうとします。特に、中・高学年は、難しいくとも、誇らしく、やりがいのある役に挑戦することから、このひとときを大切にしています。
すべての子どもたちのお迎えがあり、お師匠さん方が夕食を済まされると、今度は、7時をめやすに「大人歌舞伎」の面々が集まってきます。講堂会場は2つの演目の稽古場となるため、前半・後半と時間を分けていますが、それぞれの出演者が、互いに欠席者の配役を補い合って、ともに稽古をしています。
5時半のお迎えで一旦帰宅した子どものうち、「大人歌舞伎」にも出演する子は、再び稽古場にやってくることになります。家庭のお支えにより、出番を終えたら帰宅、入浴と、分刻みのスケジュールで、少しでも早く就寝できるようにしています。ただ「かわいい役」だけではなく「情念を表現する重い役」としても、子役はほんとうに重要です。
日々努力を重ねていく子どもたちへの応援を、どうぞよろしくお願いします。
【大人歌舞伎『源平布引滝 九郎助住家の段』稽古から 「太郎吉」役の児童】