この事業は、子ども達が伝統文化に直に触れ、そのよさを学ぶと共に、後継者難に喘ぐ地域社会の担い手を育むことをねらいとして、愛知県が推進している取組です。本年度、田峯小学校が選ばれたのをきっかけに、田峯田楽保存会長の今泉宗男さんと検討を重ね、全3回の出張講座を実施することができました。
全3回の学習の様子を紹介します。
<第1回(11月1日)>
「“田楽”って,何だろう?」
今泉会長さんを講師に迎え、田楽祭の中から「夜田楽(田あそび)」を中心に、お話を聞いたり、実際に演じてみる役を決めたりしました。
「準備の時、なんで葉っぱを口にくわえるのですか?」「馬役をする人はどうやって決めるのですか?」
「何で田楽を女の人はやらないのですか?」…。
子どもたちの質問にていねいに答えてくれる宗男さんは、終始笑顔で、田楽に興味を示す子どもたちの姿勢に、とても満足げなようすでした。
今日、五・六時間目に、でんとう文化出ちょうこうざがありました。教えてくれたのは、今泉むね男さんです
田楽があるのは知っていましたが、まさか子どもの時に田楽をやるとは思いませんでした。
ぼくは、馬の役をやることになりました。 知らないことがいっぱいわかったので、むね男さんに感しゃしたいです。
(四年 熊谷都雲)
<第2回(11月22日)>
「演じてみよう、“夜田楽”」
今泉会長さんに加え、田楽保存会員の竹下良三さん、山村仁一さん、加藤春吉さん、高橋三郎さんを新たに講師としてお迎えし、夜田楽の役割演技の練習を行いました。
第1場 扇の舞
琴麻(舞)、多貴(太鼓) 都規、実乃里(手拍子)
綾美(鼓)*本番は広大
◆はずかしがらずに、どうど うと舞いたいです。(5年 琴麻)
◆手拍子は意外にむずかしいけど、扇の舞のための歌のような感じなのでていねいにやりたい。(4年 都規)
第2場 堰(い)さらい
◆ほんとうに水路のそうじをやっているように、もうちょっと大きい動きでやりたい。(3年 穂澄)
第3場 田打ち
◆田楽の唄がうたえなかったので、しっかりとリズムと歌詞を覚えて上手にうたいたい。(6年 綾美)
第4場 代かき
都雲(馬)、日菜(鼻どり)こころ(しんどり)
◆馬らしく演じたい。はずかしがらずに、ちゃんと顔を上にあげてやりたいです。(4年 都雲)
◆やっている意味を分かってもらいたい。(3年こころ)
第5場 大足
◆はずかしがらずに、どうどうとした演技をすることに気をつけたい。(6年 広大)
第6場 田植え
康佑(さいはらい)
裕唯(子守)、結海(汁持ち)、ひまり(飯持ち)
その他全員(田植え唄)
◆かっこよく、まちがわないようにやりたい。おけをもっとたかくもつ。 (1年 結海)
◆左足からあるくようにがんばる。 (1年 ひまり)
◆まだ全然覚えてないけど、気持ちを込めて演じたい。
(5年 裕唯)
<第3回(11月29日)>
「“夜田楽”の発表会をしよう」
体験講座の総まとめとなったこの日、保護者の皆さんやおじいさん、おばあさんにおいでいただき、田楽の発表会を開きました。
【第1部 子ども田楽披露】
本物の衣装を身に付けて行うだけに、
子どもたちは楽しみと共に気も引き締まったことでしょう。前回の練習を踏まえ、それぞれの役柄を一生懸命演じることができました。
「扇の舞」
「大足」
「田打ち」
「田植え」
発表を見守っていただいた地区の皆さん
県教委の方のお話
この事業に協力していただき心から感謝します。子どもたちの姿から田峯が伝統文化の宝庫であることが窺えました。「伝える・演じる・見守る」の三者が揃っているからこそ田峯田楽が長く続いているのだということを強く感じました。
【第2部 体験成果の発表】
田楽体験をしながら、各学級でも田楽について学習を深めました。この日は、それぞれの学級で調べたことを、写真や絵、説明図などを交えながら紹介し、子どもたちなりの言葉で、田峯田楽を守り続けていくことの大切さを発表することができました。
1・2年生 「ベラベラ餅」考
3・4年 「夜田楽と農具の変遷」考
5・6年 「田楽と米作り」考
夜田楽の本番がありました。おじいちゃんとおばあちゃんと、しんせきのおばさんが来てくれました。 「いさらい」のときしっぱいはしませんでしたが、はっぴょうのときに少しまちがえてしまいました。 かえったら、おばあちゃんが、 「声が大きくて、とてもよかったよ。」 と言ってくれました。 大人になったら、「いさらい」じゃない役もやりたいです。 (2年くまがいほずみ)
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第2回出張講座の後、東海テレビのインタビューを受ける康佑くん、綾美さんと今泉会長。他にも何人かインタビューをされました。さて、どんな番組になるか、ご期待あれ!