峯っ子だより 7月号

「夏休み」に想う 教頭 近 藤 誠

子どもたちが待ち焦がれていた夏休みがいよいよ始まります。44日間という有り余る時間を、子どもたちはどんなふうに過ごすのか興味津々といったところですが、何を呑気なことをとお叱りを受けそうです。なぜなら、この時期よく耳にしてきたのは、ため息の交じった親の声なのですから、無理もありません。

「わかるでしょ、先生!子どもが始終家にいるのだから、まず昼ご飯の心配をしなければならないし、『いつまで寝てるの!日誌や宿題、やったの!も~遊んでばっかりいないで、少しは手伝いをしなさいよ!』なんて、小言漬けの毎日。終いには、『夏休みなんてなければいいのに!』なんて言っちゃったりして・・・」

まさに、「親はつらいよ~夏休み編~」といったところでしょうか。実は、かくいう自分も恥ずかしながら、小学校6年間の夏休みの失敗を決まり事のように繰り返し、散々親に迷惑をかけてきた一人であったわけです。そして、自分の子どもには、右に同じくの親でもありました。

clip_image002 でも、子どものころの失敗から学んだことが一つだけあったように思います。小学校5年生のときのことですが、祖父が収集していた木彫りの面に興味をもち、夏休みの工作として無謀にも「般若」の面打ちをやろうと思い立ちました。でも、版画用の彫刻刀だけで無垢の板から面を彫り出すことなど子どもの力では無理なことでした。一日で放り出したまま休みも終わりに近づき、さすがに焦りました。母は愚図る私を見かね、懸命に板を彫り、角を削り出し、綿入りの赤い布を敷いた菓子箱に般若面を納めて仕上げてくれました。私がやったことといえば金色のラッカーを塗ったことぐらいでした。2寸程度の板から彫り出した「般若」の低い鼻を見ながら、二人で笑ったことを覚えています。

意気揚々と提出した「私の工作」は賞に入り、図工室に展示されることになりました。先生が子どもの工作だと疑わなかったのですから、出来は推して知るべしのものでしたが、展示された般若を見るたびに心がそわそわと落ち着きません。思い悩んだ挙句、「返してほしい」と頼み込み、家に持ち帰ってしまいました。後ろめたさというものを子ども心に感じた思い出です。

息子たちの夏休みの宿題には御多分にもれず散々苦しめられ、夏休みの終盤には決まって小言を言いましたが一度も手を貸すことはしませんでした。ただ、そのせいもあってか、子どもからは当てにならない父親であったようです。

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喉元過ぎれば     神 田 勝 哉

clip_image004 5月に人間ドックを受診した。人間ドックでは、私にとっていやな検査がいくつかある。そのひとつ腹囲測定では、看護士さんに「もっとお腹の力をぬいて。」と注意された。85センチを恐れるあまり、ついつい力が入ってしまう。血圧検査では「もう一度、測りなおしましょうか。」と優しい言葉をかけられた。しかし、これ以上高くなることを恐れる私は、「結構です。」と答える。そして、2週間後に結果が届いた。若い頃は、すべてA(異常なし)だったのに、今ではB(軽度異常あるも日常生活に支障なし)C(要経過観察)D(要精密検査)が山ほどあclip_image005る。どうしてこんなになってしまったのだろう。思い当たることは、多々あるが・・・

2年前に病気をしたときには、健康こそ一番大切であると思った。そのために、健康によい生活に心がけようと思った。それなのに、私が心配したとおり「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざが現実のものとなった。今では、暴飲暴食などをし不摂生の生活となっている。こんなことではだめだとは分かっているが、ついつい心は負けてしまうのだ。酒を止めよう、運動をしよう、ごはんを食べ過ぎないようにしよう、しっかり休もう。しかし、普通に生活できる毎日が続くとあのときのことを忘れてしまう。そういえば、健康のために買った血圧計も体重計も健康器具も、今はほこりをかぶってしまわれている。

あれ、世間でも私と同じようなことが起こっていますよね。あれほどこわいと思っていた原子力発電が、また再起動とのこと。「喉元過ぎれば・・・」まるで私と同じである。これは、私たちにとって幸か不幸か・・・。それは、神のみぞ知るということなのかも知れない。

clip_image008今夏、京都の竜安寺に行った。たまたまみつけたつくばいに「吾唯足知」(ワレタダタルヲシル)という言葉が刻んであった。昨年このことばを胸に刻み、これから生きていきたいと考えていたのに、いつの間にか忘れていた。偶然行ったお寺で、再び気づかせていただいたのである。この言葉には、平和への精神の意味もあるそうだ。日本と世界が平和でありますように。 合 掌clip_image006

2020年10月

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