青い目の人形「グレース」とアメリカ訪問の歴史

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1 「青い目の人形」グレース・A・グリーンについて

昭和の初め、アメリカ合衆国では「新移民法」が議会を通過し、排日運動が盛んになったころ、宗教家、教育者として日本滞在が長かった親日家のシドニー・ルイス・ギューリック博士は、アメリカ合衆国の将来にとって、アジアにおける日本との友好関係の必要性を痛感されました。

ことに、次の時代を担う子どもたちの心に国際協調の精神を育てることが大切と考え、世界親善協会を発足させて全米に呼びかけ、260万人市民の協力のもとに、12,739体の「青い目の人形」を集め、日本の子どもたちに友情の使節として贈りました。

このアメリカ合衆国の子どもたちの善意に応えて、日本でも当時の小学生 による献金をもとに、58体の日本人形を答礼人形としてアメリカ合衆国の子どもたちに贈りました。しかし、こうした親善交流の努力の甲斐もなく、日米関係は不幸な時代へと突入してしまいました。

約70年を経た今、多くの「青い目の人形」が失われ、現存している人形 は、日本全体でわずか280体であると言われています。愛知県には、349体の人形が贈られてきましたが、現在9体の保存が確認されています。

私たちの田峯小学校では、昭和45年に再発見されてから、本校の宝と考 え、大切に保存してきました。その後の追跡調査の結果、本校に残されている「青い目の人形」は、昭和2年12月20日、アメリカ合衆国オハイオ州デイトン市のノーマル・トレーニング・スクールから贈られてきたもので、グレース・A・グリーンという名前であることが判明しました。

昭和63年、彼女の60歳の誕生日をお祝いし、田峯の村を挙げてグレースちゃんの「還暦祝い」が行われました。そして、これを機会に彼女の出身地オハイオ州デイトン市に働きかけ、「青い目の人形」を通した草の根の国際交流が始まりました。

 

2 青い目の人形里帰りアメリカ合衆国訪問(平成2年1月2日~10日)

デイトン市教育委員会は、田峯小学校の姉妹校として、ラスキン小学校を 紹介してくださいました。ラスキン小学校からは、孫人形を贈ってくださるとともに、グレースちゃんを連れて田峯小学校の子どもたちにラスキン小学校に来てほしいという要請がありました。あまりにも遠いデイトン市との交流は大変な仕事でしたが、人々の善意と関係各方面のご援助により、平成2年1月2日から10日にかけて、「青い目の人形里帰り訪問団」がデイトン市を訪問し、昭和2年に贈られてきたグレースちゃんの60年ぶりの里帰りが実現しました。

そして、ラスキン小学校との姉妹校の提携文書の交換をするとともに、田峯地区に約350年にわたって伝承されている歌舞伎を子どもたちが演じ、デイトン市の人々やラスキン小学校の子どもたちに、日本の地域文化の一端を紹介することができました。また、デイトン市長からは名誉市民証書をいただき、日米友好のかけ橋となりました。

 

3 青い目の人形答礼訪問(平成2年8月13日~22日)

「青い目の人形里帰り訪問団」のアメリカ訪問後、半年がたった平成2年8月、今度は、デイトン市教育委員会、ラスキン小学校の代表団、児童10名と職員6名が、愛知県の山里、田峯を訪れました。一行は設楽町を表敬訪問し、シルビア・ラスキン小学校長が訪問団を代表して答礼の挨拶をされました。

関谷設楽町長からは、「21世紀に生きる子どもたちが、国境を越え、生活をともにし、様々な体験をし合うことは、貴重な宝になることと信じます。青い目の人形を贈っていただいたデイトン市、大切にまもってきた設楽町の間に今後より強い結び付きができることを願っています。」という挨拶とともに、国際親善名誉町民証が授与されました。

ラスキン小学校の一行は、田峯の各家庭にホームステイをしました。そして、日本の田舎の生活や習慣、家族との心温まるふれあいを体験し、田峯に古くから伝わる盆踊り(念仏踊り)に参加するなど、地域の人々との交流も深めました。学校では、キャンプ、川遊び、習字教室、ミニコンサートなどを行い、有意義な交流会を持つことができました。

また、この間、17日から21日にかけて、田峯小学校を会場に、愛知県に現存する8体の青い目の人形を一堂に集め、「青い目の人形サミット」が開催されました。

 

4 イリノイ歌舞伎田峯訪問(平成3年2月11日~13日)

平成2年1月、「青い目の人形里帰り訪問団」がデイトン市を訪問し、子ども歌舞伎を上演したときに、歌舞伎の英語による説明、台詞の同時通訳をしていただいたのが、イリノイ大学の佐藤昌三教授でした。教授は、アメリカで20年以上にわたって、歌舞伎をはじめとする日本の古典芸術や文化の紹介に努められてきました。平成3年2月、イリノイ大学のモートン・ウェアー学長をはじめ、佐藤教授が指導するイリノイ歌舞伎一行が来日し、田峯観音奉納歌舞伎に特別参加するとともに、アメリカの大学生と日本の子どもとの歌舞伎競演が実現しました。

イリノイ大学の学生たちは、田峯地区の各家庭に滞在し、地域の人々との触れ合いを深めることができました。

 

5 第2回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成5年8月19日~31日)

「青い目の人形里帰り訪問団」のアメリカ訪問後、3年がたった平成5年8月に2回目の訪米をしました。

子どもたちのアメリカでの生活環境への慣れは早く、異国の人々との交流、 様々な生活体験を通し、世界に目を向けることができました。

デイトン市では、ラスキン小学校の子どもたちとお土産にもっていった連 凧をあげたり、合唱等の交流会を行い、両校の友情を深めるともに、交流の絆を強めることができました。

この訪問では、シカゴ、デイトン、シヤンペーン等で5回の歌舞伎公演を行い、どの公演会場も満席状態でした。イリノイ大学佐藤昌三教授の通訳により、アメリカ人にも理解しやすい形で上演できました。歌舞伎終了と同時に立ち上がってブラボーを連発し、いつまでも拍手を続けてくれました。 私たちの当初の目的であった、日本の文化と伝統の紹介は十分達成すること ができました。

また、ホームステイでは、どの家庭でも私たちを心から歓迎してくださりました。お互いに十分でない相手のことばを使いながら身ぶり手ぶりのコミュニケーションでしたが、十分意志が通じ合うことができました。外国の人々のことばや生活の違いを体験するなかで、日本文化とは異なった文化に触れることができました。

多くの方々の善意とご援助に支えられながら、このアメリカ訪問で小さな 国際交流が次第に根を張りつつあることを認識することができました。

 

6 草の根国際交流の輪の広がり

1回目の訪米後、ラスキン小学校では、アメリカ連邦政府の援助を得て、「日本語と日本文化のプログラム」を計画し、日本語による算数教育、日本の伝統文化についての学習を中心とした実践を開始しました。田峯小学校では、ラスキン小学校の要請に応じて、アメリカでは手に入りにくい日本の国語・算数の教科書、教材等を郵送する活動をしました。

設楽町では、関係方面のご尽力によって国際交流員が招致され、「青い目の人形」を通して始まった国際交流についての指導や協力をいただくことになりました。そして、世界に開かれた地域社会の形成、国際的視野をもった人材の育成を目指して、新しい町づくりが行われています。

ラスキン小学校との交流から始めた国際交流も、その輪が広がり、最近ではシカゴ広島県人会の方々や英国地方団体職員、そして、米国ダイヤモンドスター社の高安さんと大学教授2名が、本校を訪問されました。歌舞伎の練習風景を見学されたり、音楽会や七夕会を子どもたちと共に過ごしたり、ディスカッション等の交流を行ってきました。高安さんたちの田峯訪問の様子は、現地の新聞「パンタグラフ紙」に5日間にわたり掲載されました。

ラスキン小学校の子どもたちとは児童の絵画、手紙、写真、クリスマスカードなどの交換によって地道な活動を続けてきました。

 

7 ラスキン小学校の2回目の来日(平成8年7月26日~8月1日)

「今日はとても暑く、私の長い演説を聞いてもらうにはよい時ではありません」ラスキン小学校のキヤラス校長が、田峯の歓迎会の冒頭で述べられたように、とても暑い時期の田峯訪問でした。

ラスキン小学校の児童9名と職員12名は、暑さにも関わらず十分田峯を体験してもらいました。

設楽町の歓迎レセプション、武者行列参加、設楽の舞(盆踊り)の見学など、設楽町の人々の歓迎ぶりにたいそう喜んでいました。

今回は、田峯小学校の臨海学習と日程が重なり、渥美町の設楽津具海の家での生活を体験してもらいました。生まれて初めての海水浴で、塩味の海水に戸惑いながら3日間の生活を楽しんでいました。

今回も保護者の家庭にホームステイをし、各家庭の生活や習慣を体験し、家族との心温まるふれあいを通し、日米の交流を深めることができました。

田峯の川原でのアウトドア昼食や川遊び、田峯小学校での児童会主催の日本の伝統的な遊び(竹トンボ、折り紙、あやとりなど)に挑戦したり、アメリカ合衆国のスクェアダンスを紹介して下さったりして、お互いに有意義な交流会を持つことができました。

 

8 第3回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成9年1月3日~12日)

ラスキン小学校との草の根国際交流の絆を深めること、そして、田峯の伝統芸能である歌舞伎をアメリカで紹介することを目的に、第3回目の訪米をしました。

子ども歌舞伎の公演はシカゴ美術館で行いました。今回は、寿浄瑠璃三番叟と車引きを演じました。役者の時差ボケが多少ありましたが、佐藤先生のユーモアあふれる紹介と役者の熱演に拍手喝采のうちに終了することができました。

ラスキン小学校との交流では、両校の子どもたちが一緒に、ラグビーボールを使っての体育、絵を描いたり、分数などの勉強をしました。また、ラスキン小学校の子どもたちが「海の向こうの友達」というオペレッタを演じてくれました。春夏秋冬の季節ごとにラスキン小学校と田峯小学校の様子をうまくまとめてあり、大変好評でした。

田峯小の子どもたちは、三番叟を演じました。足が滑って転んだりもしましたが、熱演にラスキン小学校の子どもたちは真剣に見入り、なかには、まねをしている子もいました。

3回目の訪問も多くの方々の善意とご援助に支えられながら無事終了することができました。そして、本校が進めている国際交流が着実に根づいてきたことを実感することができました。

 

9 第4回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成12年1月6日~15日)

第4回のアメリカ訪問は、訪問について大変お世話になっている佐藤先生 がお住まいのフオートブラッグ市とロサンゼルス近郊のラグナビーチの2カ所で歌舞伎公演をし、それから、ラスキン小学校のあるデイトン市を訪問するというコースでした。

フオートブラッグでは、2日間ホームステイをしました。たどたどしい英語で分かったことは、この町は漁業が盛んで、特にウニの水揚げが多く、日本にも輸出しているそうです。ウニや新鮮な魚介類をたっぷり食べた幸運な保護者もいたそうです。

ラグナビーチは、とても裕福な人たちが住んでいる町でした。特に、歌舞伎公演をしたマーガレット・エキスコパル・スクールは、私立学校ですが、お出迎えはほとんどベンツというお金持ちの師弟が通っている学校でした。

ここで谷高座が「釣り女」子ども達が「義経千本桜」を上演しました。演技が終わると会場が割れんばかりの拍手をいただきました。

ラスキン小学校との交流は、10年以上交流しているせいかとても親しみを感じました。ラスキン小学校の日本語プログラムを受けている子ども達と田峯小の子どもや保護者と一緒に、ローラースケートとロッククライミングをしました。特に、ロッククライミングは、ほとんどの人が初めての経験で良い汗を流すことができました。その他、デイトン市では市長さんや教育委員会の方をお招きして交流会を行ったり、現地の高級ホテルマリオットホテルで送別会を開いていただいたりしました。

アメリカ訪問も4度目になると、訪米の経験者が多くなり、様々な面でスムースに運営できるようになりました。今後、ますます交流の芽が育っていくとの確信を持った訪問でした。

 

10 フォートブラッグ市教育委員会からの招待

平成12年頃からラスキン小学校との連絡が取りづらくなってきました。

ラスキン小学校の事情で、日本語プログラムが中止になり、担当していた渡 辺先生が帰国したことが大きな原因です。本校では平成14年度に訪米の予定がありましたので、ラスキン小学校に、第5回目の訪問ができるかどうかを伺いましたが、明確な回答がありませんでした。

そんな折り、前回の訪米で歌舞伎公演をしたフオートブラッグ市の教育委 員会から、田峯小学校に招待状が届きました。前回の歌舞伎公演に感激し、ぜひ、市内の学校と交流して欲しいとの意向でした。

田峯小学校父母教師会と田峯の歌舞伎を伝承する谷高座は協議を重ねた結 果、日本や地域の将来を背負い、21世紀の国際社会を生き抜く子どもたちの国際理解教育と、歌舞伎を通した草の根の日米文化交流を目指して、フートブラッグ市の小学校との交流と日本の伝統文化の紹介を柱として第5回目の訪米を実行することになりました。

 

11 第5回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成15年1月4日~13日)

新しく姉妹校となるフォートブラック市のダイナグレイ小学校との草の根 国際交流の絆を深めること、そして、田峯の伝統芸能である歌舞伎をアメリカで紹介することを目的に、第5回目の訪米をしました。

子ども歌舞伎の公演は、ダイナグレイ小学校の講堂で、2回公演を行いました。子ども達の演目は「車曳き」、谷高座の公演は「身替座禅」でした。

この地区の人は、歌舞伎を見るのに慣れていないのですが、佐藤昌三先生のユーモアあふれる分かりやすい解説と役者の熱演で、大好評のうちに終わることができました。

フォートブラック市と公立小学校との柿妹提携を結ぶ関係から、市の庁舎 に伺い、市長と教育委員長を表敬訪問し、携えた記念品を渡しました。ダイナグレイ小学校との交流では、体育館で、田峯小の子ども達が、英語劇を見せたり、シンクロナイズドスイミングのようなパフォーマンスを披露しました。その場で、両校校長により姉妹校提携が結ばれました。両校の子ども達は、一緒に授業を受けたり、給食を食べたりして、とても仲良くなりました。

ホームステイでは、地元の方に大変親切にしていただいたので、児童ばかりでなく保護者も十分に楽しみ、アメリカの家庭生活の実態を体験することができました。

第5回目の訪問も、多くの方の善意とご援助に支えられながら、無事終了することができました。本校が進めている国際交流活動が、大きな変化をした訪問でした。

 

12 シカゴ美術館とウインザー小学校からの招待

第5回訪米は成功しましたが、ダイナグレイ小学校との交流は、相手校に日本語がわかる教員がいないため、連絡が取れず、交流がなかなか進みませんでした。そんな折、訪米の支援者である佐藤昌三先生から、シカゴ美術館の大ホールでぜひ歌舞伎公演をして欲しいという依頼があった旨連絡が入りました。また、同じくお世話してくださるシカゴ在住の平松裕さんのご尽力により、シカゴ近郊のアーリントンハイツのウインザー小学校が田峯小学校との交流を快く引き受けてくれる運びとなりました。このウインザー小学校は幼稚園から5年生までで児童数608名の学校で、田峯小の児童は全員この小学校で体験入学をする予定としました。

また、ホームステイに関しても、原則として、子ども達はウインザー小学校のPTAのお宅にお願いできるなど、ウインザー小学校は非常に好意的な 学校です。

以上のように、第6回の訪米は、シカゴ美術館での公演と、ウインザー小

学校との交流を中心に行うことになりました。

 

13 第6回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成18年1月5日~14日)

第6回アメリカ訪問は、前回実施したフォートブラック市からシカゴ市へ変更になりました。フォートブラックのダィナグレー小学校との交流が困難だったためです。

シカゴに到着した日、日本国シカゴ総領事館の公邸に招かれ、歓迎のパーティが開かれました。翌々日、シカゴ美術館のホールで歌舞伎公演が行われました。演目は「寿浄瑠璃三番叟」と「車曳き」でした。この公演では、800人余の観客から万雷の拍手をいただきました。歌舞伎公演は、サウスミドル中学校でも、小学生と一般向けに2公演行われました。

今回の交流校は、シカゴ市郊外のアーリントンハイツにあるウインザー小学校でした。この地区は、全米1の競馬場や巨大な総合病院のある住宅地でした。村長さんの案内で、地域施設の見学をしたり、小学校で様々な交流を行いました。交流は、田峯小学校児童が、日本の歌や身体表現、田峯や青い目の人形などについて紹介しました。また、折り紙づくりや体育など一緒に勉強したり、佐藤先生の習字の授業を一緒に受けました。放課や給食もウインザー小のお友達と一緒でした。今回の交流は、平松裕さんいわく「最高の学校間交流ができましたね。」という評価をいただきました。

ホームステイも大成功でした。全てがウインザー小学校の保護者宅であり、どこの家にも小学生がいたので、子ども達にとっても楽しいホームステイができました。

第6回の訪問は、シカゴならびにその近郊で、全ての行事を行ったため大変効率的で、内容の充実した訪問となりました。

 

14 7回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成2116日~15日)

第7回アメリカ訪問は、前回と同様、イリノイ州アーリントンハイツにあるウインザー小学校を訪問しました。前回は、急遽訪問校が決定したということもあり、田峯小学校が主体となって計画し訪問しましたが、今回は、事前に両校でスムースな連絡ができたことや、前回の経験者がいたこともあって、不安なく学校間交流を行うことができました。

受け入れ先のウインザー小学校は、私たちの訪問を契機に、国際交流に熱心に取り組んでくださり、日本人教師による日本語の授業を全クラスで行うなど、前回と比べ大きな変化がありました。こうした状況から、このウインザー小学校と末永く交流し、機会があれば姉妹校提携を結ぶことも良いのではないかと考えます。日本人教師が勤めていることから、連絡等も容易にできると思います。

今回の訪問では、ホストファミリーの希望者が多かったそうです。前回の訪米で本校がウィンザー小学校区の皆さんに良い印象を与えていることが伺われました。子ども達にとってもこのホームステイ体験が、最も印象に残ったと答えた子が多く、そうした面でもウインザー小学校との交流の継続は必要だと思いました。

歌舞伎公演は、前回と同じくシカゴ美術館とサウスミドルスクールで行いましたが、今回は、それに加えノースウエスタン大学でも公演しました。特に、シカゴ美術館の公演では、演技終了後、子ども達が舞台に立つと、スタンデングオベーションで、観客の皆様が、子ども達の演技を賞賛してくださいました。子ども達も感激し、とても印象に残ったようです。本校のアメリカ訪問には、歌舞伎公演は欠かせないと改めて感じました。

ラスキン小学校との交流が途絶えた今、このウインザー小学校との交流を継続することは、本校の国際交流にとって、とても有意義なものになるであろうと感じました。

 

15 第8回青い目の人形アメリカ合衆国訪問(平成24年1月17日~26日)

第8回アメリカ訪問は、第6回・第7回と同様に、イリノイ州アーリントンハイツにあるウインザー小学校を訪問しました。同一校3回目の訪問であったことや前回訪問経験者が職員にいたために、学校交流等スムーズに行うことができました。ウィンザー小学校での歓迎会では、ウィンザー小学校の高学年の子ども達が合唱で迎えてくれました。アメリカの学校らしい選曲と指揮をする子ども達の明るさ、リズムに乗った歌声と笑顔で私たちを迎えてくれました。田峯小学校の子ども達も、緊張しながら英語で自己紹介をしました。また、日本の紹介では、2学期から練習してきたリコーダー演奏とともにプレゼンを使って日本の四季の美しい風景を紹介しました。

学級での授業交流では、ウィンザー小学校がたててくれた計画に沿って学級を訪問し、日本の伝統的な遊び(折り紙、コマ回し、ダルマ落とし、けん玉等)を紹介するとともに、一緒に遊ぶという経験をしました。また、アメリカの算数の授業に参加することもできました。英語の授業なのでわからないことも多かったのですが、プリントや器具等を見ながら何とか参加すること下できたようです。

シカゴ総領事館では、私たちの歓迎パーティーを開いて下さいました。岡村総領事ご夫妻の温かい歓迎で、アメリカに来て英語ばかりの生活でやや疲れていた私たちは、元気を取り戻すことができました。

歌舞伎公演は、子ども歌舞伎は「車引き」、大人歌舞伎は「吉野山」を上演しました。公演会場は、アーリントンハイツにあるサウスミドル中学校とイリノイ大学のクラナートセンターでした。サウスミドル中学校での公演は、3回目でホストファミリーやアーリントンハイツの方、また、アーリントンハイツ市長・教育長・ウィンザー小学校長・サウスミドル中学校長、岡村シカゴ総領事夫妻などたくさんの方に見ていただけました。その日は、午後から雪が降り始め寒くもあったのですが、予想に反して熱心な方々のご観覧を得ることができ、大変有り難く思いました。もう一つの公演場所、イリノイ大学のクラナートセンターは、バスで3時間の移動が必要なシャンペーンにあります。今回は、佐藤先生がイリノイ大学を退官されるということで、第2回の訪問(平成5年)以来の公演を実現することができました。この公演を行ったのは、クラナートセンターにある一番大きなホールTryon Fesutival Theatreでした。照明・音響・ホールの作りがとても素晴らしく、演じた子どもや大人たちは、自分の声の広がりの良さを感じながら演じることができました。観客の皆さんも、歌舞伎に関心の高い方ばかりで、とても熱心に観て下さいました。講演後、ロビーに出た子ども達にたくさんの声をかけていただくとともに称賛の言葉も戴きました。

アメリカ訪問を終えた2月には、アーリントンハイツの市長・教育長・教育理事の方が、設楽町を訪問して下さいました。その日程の中で、田峯小学校の訪問時には、奉納歌舞伎の三味合せを見学して下さいました。アメリカ訪問時の温かいお世話に感謝するお返しとして、田峯小学校保護者が中心となって歓迎会を開きました。再会を喜び合いながら楽しい時を過ごすことができました。国際交流の広がりを感じる一夜となりました。

2020年10月

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