東海北陸へき地教育研究大会愛知大会が25日、26日と行われました。25日は全体会で、豊田市民会館を会場に、東海北陸地区の各県の研究実践や、阿部夏丸氏の「川に教えてもらったこと」という講演を聴くことができました。
2日目は分散会。南知多町立篠島中学校会場へ行ってきました。こんな風に教室の窓から海が見えるという、自分たちでは信じられない光景がありました。思わず「海っていいなあ」って口に出したら、笑われてしまいました。でも、それを見ただけでも来た価値があったと思いました。船に乗っていくことも新鮮な体験です。この日は海も特におだやかで、とてもさわやかな日でした。
そんな篠島中学校ですてきな音楽の授業に出会いました。学校の事情で10月から着任された講師の先生(本務校が別にあるベテランに見える先生でした)の授業でした。
『早春賦』を歌っていました。この曲は、自分が今年度の入学式の式辞の中でちょっとだけ歌った歌です。「今の中学生は知らないでしょ」と言われ、そうかと納得してしまったのですが、教科書にあったのでびっくりしました。思わず北設から来ていた先生に「同じ教科書かな?」と聞いてしまいました。まず、そこでうれしくなったのですが、すてきなことはそのことではありません。
授業の中で、先生が『一人で歌ってくれる人いませんか」と言うと、A君が「B君となら歌える」と答えました。でもB君はいやだと言います。先生は「友情があるから歌ってくれるよ」と、伴奏を始めました。A君が歌い出すと、B君も立ち上がって一緒に歌い出しました。「いいですね」と先生はB君を認めました。2番になると数人の男子が立ち上がり歌い出します。3番になると女子も立ち上がって歌い出しました。独唱のはずが、最後にはほとんどの生徒が一緒になって歌っていたのです。伴奏を終えた先生は、涙が止まりませんでした。見ていた私も、胸がじいんとしてきました。もらい泣きをしそうでした。先生「さすが」、生徒も「やるなあ」、たった1か月の間に、一生懸命作り上げようとしてきた先生と生徒の思いを感じる授業でした。