豊根中学校寄宿舎志高寮「閉寮式」に寄せて

豊根中学校寄宿舎志高寮 「閉寮」に寄せて

 早春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、志高寮は、昭和51年の開設以来、皆さまのご尽力により、昭和・平成・令和の時代、44年という歴史を刻み、869名もの卒寮生を送り出してきました。
 開設当時104名いた寮生も令和元年度は31名でした。現状のまま推移すると5年後の令和7年度には9名になります。

 志高寮に入寮させた保護者、また寮生活を経験した卒寮生の多くは「寮でいろいろ経験したことが大人になってから生きた。」という感想を抱いています。中学校と志高寮が一体となって、子どもたちの自立心を育てることが豊根村の特色ある中学校教育でした。
 
 志高寮での共同生活は、豊根村独自の教育として意義がある一方で、生徒数の減少、運営における村の負担額の増加、園児・児童の全員バス通学、教職員の働き方改革、そして小学校統合に伴う9年間の固定化された人間関係の中での寮生活等、多くの課題が時代の変化とともに顕著になってきました。そして、決め手は、本来の家庭教育を大切にしたいという保護者の意識変化にありました。
 こうして、本年度限りで、寄宿舎としての志高寮を閉じるという決断に至りました。なお、今後も志高寮は社会教育施設として存続させる計画です。

 今、地方創生における教育・人材育成の重要性が叫ばれています。地方創生に貢献する人材は、一朝一夕には育成できませんが、そのためには、小中学校などの早い段階から創造性があり、課題を解決できる自主的な人材の教育が必要であり、地方のビジネスをサポートする企業の協力も必要です。  
 本村でも、人口減少が進み、地域の継承が途絶えてしまうことが懸念されていることから、地域を引き継ぎ、地域に根付く人材を育成するため、首長部局・関係機関・地域・教育委員会が連携してコミュニティ・スクール の活性化に取り組むこととしており、志高寮はその一部を引き続き担うことを計画しています。
 具体的には「とよね地域未来塾 『志高寮』」としてスタートします。そして、未来からの留学生である子どもたちが、地域の方々の支援を受けながら地域学習に励み、自ら地域の課題を考え、解決に向けた能動的な学習を通じて、「豊かな心とふるさと愛を育む」施設としての利用を推進してまいりたいと考えています。
 
 先般、「閉寮式」というご案内を差し上げましたが、寮の「終わり」ではありません。寮の「新しい取組み」を始める再出発Restartと捉えておりますので、何卒ご理解いただき、今後とも絶大なご支援ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。


   令和2年3月
豊根村教育委員会教育長 山本明弘
豊根中学校長・志高寮長  大谷知二


コミュニティ・スクール:「学校運営協議会」を設置した学校のことを言います。子どもの育ち、学びにおいて、学校と地域がパートナーとして共に責任を持ち、連携・協働して取組みを進めていくシステムで、「地域とともにある学校」への転換を図るための有効な仕組みです。

地域未来塾:経済的な理由や家庭の事情により、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身についていない児童・生徒への学習支援を教員OBや大学生、地域住民の協力により実施する原則無料の学習支援事業です。


ご挨拶

早春のみぎり、関係各位におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
本日、ここに豊根中学校寄宿舎志高寮の閉寮を迎えるにあたり、一言ごあいさつを申し上げます。
 志高寮は、昭和49年に村内の3つの中学校が統合された際、通学困難生徒が多く発生したことを背景に、昭和51年に開設されました。昭和・平成・令和と44年間もの間、寮生の葛藤や喜び、悩みなどを包み込んできた志高寮が、その役目を終えることはとても寂しく感じます。
 開設当時100人を超えた寮生も、過疎化・少子化の影響により年々減少していく反面、個人の社会活動のために寮に泊まらない生徒も増えてきました。
このような時代の流れとともに、860人を超える多くの卒寮生を送り出した志高寮は、その運営形態を変え、新年度より寄宿舎機能を停止することとしました。
 子どもは「地域の宝」です。地域の宝を守り育てていくことが、この地で生活する私たちの使命です。
今後、社会教育施設として生まれかわる志高寮の新たな取組みが、その役割を今まで以上に果たしていくことに期待します。

   令和2年3月
豊根村長 伊藤 実


ごあいさつ

 浅春の候、皆さまにおかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
豊根中学校寄宿舎志高寮の閉寮式を迎えるに至り、一言ごあいさつ申し上げます。
 昭和51年、寄宿舎志高寮が開設されました。当時の関係者の皆様には並々ならぬご苦労があったものと拝察いたします。以来44年が経過し、これまで寮生たちを温かく支え続けていただいた学校、地域の皆様にも謝意を申し上げたいと存じます。
 時代は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、そして現代の情報社会を経て、次に訪れる新しい社会へ突入していきます。人間がやっていたことをAIやロボットがやってくれる世界になり、子どもたちの65%は今は存在していない職業に就くとも言われています。
 この予測不可能な時代に今の子どもたちはどのように対処していくのでしょうか。予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に向き合い関わり合って、より良い社会と幸福な人生の創り手となっていけるよう、我々も応援が必要だと考えます。
 「教育の原点は家庭にある」と言われますが、家庭教育の向上を図り、「地域の子どもは地域で育てる」「地域を担う人材、地域で活躍する人材を地域で育てる」という目標を持って、議会としましても、その一助を担えたらと思います。

   令和2年3月
豊根村議会議長 新木久登 


閉寮に寄せて.pdf

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