6月27日(月)、5・6年生は、道徳の授業で、心を揺さぶられる講話を聞きました。
地元で工房 木と革 aoyamaを営まれている木工職人の青山和志さんに、聞き応えのある、魅力いっぱいのお話をしていただきました。
青山さんは、こよなく設楽町を愛し、設楽町の町や自然を案内する「設楽の案内人」もされています。
また、実は、本校の保護者でもあられます。日頃から大変お世話になっています。
今日の授業でのお話の内容は、設楽町にある豊かな自然、木々についてのお話と、それらの木を使ったものづくりのお話、そして、ここ設楽町で木と共に生き、設楽町の魅力を発信していらっしゃる生き方についてのお話でした。
青山さんは、講話の一部始終、子どもたちに分かりやすいようにと工夫をしてくださいました。工房の様子を映像で紹介してくださったり、実際に木から生み出した作品を見せてくださったり、手に取って触らせてくださったりと、たくさんのお心遣いをしてくださいました。
子どもたちは、もちろん全員が、青山さんのことを幼い頃から知っています。けれども、今日は、○○ちゃんのお父さんの青山さんとしてではなく、お話を聞きながら、青山さんのことを、「木と共にふるさと設楽町で生きる人生の先輩」として尊敬の眼差しで見つめ、真剣にお話を聞いていました。
作品を見せていただいて、「すごい!」と感嘆したり、「いい香りがする。」と満ち足りた表情になったりして、子どもたちは自然に笑顔になっていました。
そんな子どもたちを見ていると、木に楽しませてもらっている感じや、木に癒されている感じがして、木っていいなあと強く思えてきました。
青山さんがお話してくださったことを詳しくご紹介したいのですが、だらだら説明するよりもご本人のお言葉がいちばんですので、青山さんが語ってくださった言葉の一部を、「青山さん語録」として、掲載させていただくことにします。
~青山さん語録~
○本来、木は人間にいちばん近い存在です。
○年輪は木の生きた証です。木の成長を表します。木目の詰まった木は、年とった立派な木です。目が細かいほど、そりにくいです。
○ふるさとの奥三河にたくさんある木を使ってものづくりをしたいと思ったのです。
○田舎が嫌で、一度は東京に出ました。家具屋で働きました。でも、自分のお店をもって、自分の好きなものを作りたいと思うようになりました。そして、自然豊かな場所でものづくりをしたい、子育てをしたいと思い、生まれ故郷の設楽町に帰って来ました。
○海に近いところ、例えば、蒲郡市などの下流域の人たちに、上流域の奥三河のことを知ってもらいたい、そして、奥三河に来てほしいと思っています。
○「名人に学ぼう」という企画に協力したり、中学生の職業体験も受け入れています。体験を通して、木のことを知ってもらうことや、作るおもしろさや大変さを感じてもらうことなどを、大切にしています。
○生活で使うお皿やスプーン、紙コップホルダー、遊びに使う積み木、いろいろなものを作っています。この地域の木を使っています。地域のものを使うお手伝いをしています。
○これは、バードコールというものです。木に埋め込まれた金属の部分をこすってごらん。(子どもたちは、こすってみると、まるで野鳥の鳴き声のような音がしたので、びっくり!大喜び!歓声が上がりました。)「きららの森」で、町から来た人たちに、実際に作ってもらい、とても喜ばれました。
○木でものを作るようになったきっかけは、学校で学んだことにあります。夏休みの自由研究で、端材でロボットを作ったんだね。そのときの、完成した喜びと、「和志くんすごいね。」と、みんなに褒められた喜びが基にあります。
○みんなも願いをもってください。いつか必ずかないます。
○設楽町には豊かな自然がいっぱいあります。木もたくさんあります。けれども、木工をしている人は、数人です。自然以外には、何もない場所かもしれません。でも、何もない場所だから、新たなものを創る喜びがあります。みんなが成長したとき、戻って来られる環境をつくりたいと思っています。
○木を通していろいろな人と繋がって、この町が元気になったら……と願っています。
私は、青山さんのお話を伺い、設楽町で生きるかっこよさというか、田舎で生きる洗練されたセンスを感じました。
5・6年生も、青山さんのお話に引き込まれ、そして、青山さんの木とふるさとへの熱い思い、地に足の着いた強く前向きな生きる姿勢を、子どもたちなりに感じ取ったようです。学ぶことの多い講話でした。
講話の後、5・6年生は、感想を記し、みんなで話し合いました。
その中で、こんなことが話題になりました。
【木は、木工作品になっても生き続けているのか。】
意見が分かれました。自分たちの考えを述べ合った後、青山さんに伺いました。
青山さんのお言葉に、みんな、耳を傾けました。
「木からものを作るとき、私は、木にもう一度命を吹き込もうと思って作ります。植物としての生命は終わっても、その木は木工作品として、生活の中で生き続けると思います。木は新たな命をもって生き続けます。」
木に命を吹き込み、木と共に生きる、木の守り人、青山さんのお話は、説得力がありました。子どもたちは、木のこと、生きるということ、ふるさとのことなどを、今まで以上に真剣に考え出しました。
木を通しての子どもたちと青山さんの繋がりは、さらに続きます。
7月12日には、緑豊かな自然の中にある青山さんの工房aoyamaを訪問させていただき、木工体験をさせていただきます。